古典落語「田能久(たのきゅう)」

大蛇【あらすじ】
 阿波徳島のお百姓、久兵衛さんは芝居好き。田能村の久兵衛で愛称は田能久。芝居が達者で田能久一座は評判を取り、隣国の伊予宇和島の芝居小屋から呼ばれて十日間の興行に出た。盛況のうちに千秋楽の舞台を終えたところへ国元から母親の大病を知らせる手紙が届き、一足先に一人で出発した田能久は法華津峠で老人に化けた大蛇に遭遇、呑まれるかと怯えながら田能久と名乗ると「狸?じゃ呑むわけにはいかねえ。狸ならいろいろ化けてみろ」 鬘を被って坊主や女に変化して乗り切ったところで嫌いなものを聞かれ、金と答えると「俺は煙草の脂(やに)。お前のこともしゃべらねえからお前も黙ってろ」。

 山を下りた田能久が麓の村であらましを話すと、村の衆は脂を集めて大蛇を征伐。家に帰り着いてさて寝ようかという頃、「開けろ!」。血まみれの老人がじっと見据えている。「よくもばらしてくれたな。仕返しだ、ほれ」。老人の姿が消えると、庭には千両箱が積まれていた。