古典落語「たちきり」

三味線【あらすじ】
 色町の花代を線香一本、二本と称(とな)えた頃のお噺。若旦那が柳橋の娘芸者小糸に恋をした。挙げ句店の金に手を付けて、親戚一同相談の結果百日間の蔵住みが決まる。小糸の方はそうとは知らずに毎日毎日手紙を書くが、店の番頭が仕舞い込んで若旦那には届かない。やがて百日の期限が来て解放された若旦那は番頭から小糸の手紙を渡され、最後の一通を見れば「これがこの世の別れ」とある。

 駆け付けた若旦那に置屋のおかみは白木の位牌を指し「小糸はこんなことに。若旦那が誂えてくださった三味線を弾いていると容態が急に悪くなって………。供養してやってください、お線香を」。「小糸、小糸、命を詰めてまで思ってくれて。あたしは生涯妻を持たないから」。仏壇に供えた三味線がいつからともなく鳴っていたが、ふっつり止んだ。「若旦那、もう弾きませんよ。仏壇の線香が立ち切れました」

ふるさと納税「ふるなび」