古典落語「お神酒徳利(おみきとっくり)」

【あらすじ】
 十二月十三日は年中行事の煤(すす)取り。旅籠が集る馬喰町三丁目、刈豆屋(かりまめや)吉左衛門の家も総出で大掃除。方が付いてお神酒徳利を上げる段になって、徳利がない。通い番頭の善六さんも聞かれたが心当たりはなく、はやばや家へ帰った。

 「お前さんの留守の間に煤取りをして、神棚にお神酒を上げてある」とおかみさん。

 「そりゃありがたい。なんだ、やかんに水がない」と台所の水瓶まで来て、お神酒徳利は昼間台所の水瓶に仕舞い忘れたことに気がついた。算盤占いで当てろというかみさんから呪文のようなものを教えられ、善六さんはお店に舞い戻る。

 「旦那、今日家で煤取りをしていると巻物が見かって、必ず易があたることがわかりました。今算盤で占います」とやって、水瓶から葵の御紋付の徳利を出してくる。

 二階に泊まっていた大阪の鴻池の支配人が旦那を呼び、鴻池の娘が三年来の病だから善六さんに占って欲しいという。三十両の支度金を家に置いて大坂へ向かう善六さん。途中神奈川宿の定宿、滝の橋の新羽屋(にっぱや)源兵衛へ来ると、 盗難騒ぎがあって主の源兵衛が疑われていた。丁度いいから大先生に占ってもらいましょうとなり、善六さんは夜逃げの支度。すると宿の下女が盗んで稲荷の床板に隠したというんで一件落着。

 さて大坂。うとうととしていると新羽屋の稲荷が現れ、この地は聖徳太子と守屋大臣が争ったとき、仏像をあちこちに埋めた。それが鴻池の屋敷の柱の下にあるというので掘ってみると観音の像が出て、娘は全快する。

ふるさと納税「ふるなび」