古典落語「たがや(たがや)」

花火【あらすじ】
 両国界隈が一番に賑わう川開きの日。大混雑の両国橋へ本所の方から供を連れ、中間に鎗を持たせた侍が来る。「寄れー、寄れー」「寄れったってこれ以上は寄れないよ、後は川だ」

 両国広小路からは、たが屋が道具箱にたがの端をかけてやって来る。「たがの仕替え、たが屋でござい。すいません通して下さい」

 あっちで小突かれ、こっちで突き飛ばされ、正面から来る侍の前に出てしまう。よろよろとした弾みに道具箱の先に掛けてあったたがが跳ねて馬上の侍の笠をたたいた。その拍子に笠は空高く舞い上がり、頭には台だけが残った。家来がたが屋に「無礼な奴、屋敷まで来い」。「どうぞ勘弁をして下さい」「ならぬ、屋敷に参れ」

 「屋敷に行けばあっしの首はついちゃいません。どうか勘弁を…。こんなに謝っても駄目なのかい、この丸太棒め。血も涙もねぇ奴だから丸太棒というんだ」「二本差しが目に入らぬか」「そんな物が目にヘぇるかい。気のきいた鰻なら五、六本指している」と開き直るたが屋。

 錆びた刀を抜いて斬りかかる供の侍。たが屋はひょいと身をかわして侍の利き腕に手刀を打つ。ぽろりと落としたのを拾いあげて、えいっ、斬りつける。馬上の侍は斬り払うように刀を振り下げたが少し遅かった。たが屋は飛び上がるように侍の首をすぼんとはわる。

 すかさず一声「たが屋ー」。