古典落語「だくだく」
【あらすじ】
家賃を溜め過ぎて店立を食らった八五郎。すぐ出て行くなら棒引きにしてやるといわれ、道具屋に家財を売っぱらって引越したので家の中はがらんどう。そこで壁に紙を貼り、知り合いの先生に箪笥や長火鉢の絵を描いてもらった。長押(なげし)には槍、火鉢の上には鉄瓶が湯気を上げ、脇には猫があくびをしていて、まっこと芸が細かい。
その晩、八つぁんが寝ているところへ泥棒が入った。開かない引き出しにすぐ絵だと気づいたが、それならと遊び心で「箪笥から結城の紬を出したつもり、風呂敷を出したつもり……一切合切包んだつもり、重くて持ち上がらないつもり」と。やっていると八五郎が目を覚ました。
「長押の槍を取ったつもり、脇腹を突いて抉ったつもり」「いてててっ、だくだくっと血が出たつもり」