古典落語「崇徳院(すとくいん)」
【あらすじ】
若旦那の具合が悪いから力になってくれと旦那から相談された熊さん。よくよく聞いてみると原因は恋煩い。上野の清水様で一目惚れしてそれっきり、どこの誰とも分からないお嬢さんを捜してくれと頼まれる。手掛かりはたった一つ「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」という歌の文句だけ。
人の多いところで連呼するに限るとかみさんから知恵を授けられた熊さで鳶んは町内を歩き回ってふらふらになった夕方、二度目になる床屋頭の話を耳にする。「清水様へお参りに行って、休んだ茶見世に良い男がいて……重湯も喉を通らねえで、お嬢さんは糸みてえに細くなっちまった。見つけた者には酒樽が二十本出る」「てめえを捜そうとお湯屋へ十八軒、床屋は三十六軒。顔なんざびりびりする。てめえをうちのお店に」「なにを、俺のお店へ」取っ組み合いが始まって床屋の親方が仲裁に入るが、鏡を壊してしまう。「親方、心配しなくていい。割れても末に買わん(逢わん)とぞ思う」