古典落語「居残り佐平次(いのこりさへいじ)」

宿場【あらすじ】
 「おい、今夜品川へ行こうと思うんだが。たっぷり飲んで、騒いで一両の割り前でどうだ」「そういう安い物は少し買い占めておきたい」と話がまとまって、男は連れの四人と品川へ繰り出した。
 「おい、いつまで踊ってんだ、お引けだよ。その前にちょっと俺の部屋まで来てくれ」男は仲間を前に「勘定のことだがな。この金を明日、おふくろのとこへ持って行ってくれ。このところ、からだのあんべいが悪いんで、俺はしばらくここにいる。また良くなったら会おう」「おい居残りなんてぇ」「なに、お手のものだ」

 これから翌朝早くに四人は帰ってしまう。若い衆が勘定を請求すると、昨日の四人が今晩裏を返しにやって来るからとごまかした。
「昨夜はお連れさんは見えませんでしたね」
「来なかったねぇ」「お手紙でも」「それがどこの誰だか。ようがす行灯部屋(あんどんべや)へ下がりましょう」


そのうちに刺身の下地がないのを持って行く、集まりに呼ばれて祝儀を稼ぐ。たまりかねた店の主からいい加減帰ってくれと頼まれるが、自分は悪行を重ねて追手に追われている身、ここを出るにも金がないと言って退ける。「じゃあここに二十両あるから遠い所へ行け」。

 着物までせしめてそこを出ると、後から若い者が「おい、のんきに唄なぞ」「おめぇのご主人てえのは馬鹿だ。俺は居残りを商売にしている佐平次という者だ」。あわてて見世に帰ると「旦那、実はあいつは居残りを商売にしている奴で」。
「よくもおこわにかけやがった」
「旦那の頭がごま塩ですから」