古典落語「五人廻し(ごにんまわし)」

花魁【あらすじ】
 江戸の遊廓では玉代(ぎょくだい)を払っても振られることがままあった。一晩に五人の客を取った喜瀬川花魁に待ちぼうけを食らった四人はてんでに嘆いたり怒ったり……。

 「へい今晩は」「おい若い衆、客を振る面かあの女郎は。生意気なことするなって女にいっとけ。まごまごしてやがると頭から塩掛けてかじるぞ」

 「ああ驚いた。どこ行ったんだ、えー高瀬川さん」「ちょっと廊下を行く人、聞いてましたよ向うの野蛮人。野暮の極みでげすな。ところでその、今宵姫君は」「ただ今直に」「何を今更。玉なるものをご返却願って引き上げましょう。さもなくばお体を拝借」「驚いたねどうも。えー喜瀬川さん」「おいこら、夜明けになんなんとして娼妓は一度も来ちょらん。即刻寄越すか揚げ代を返却か。返答によっては覚悟がある」「ただ今呼んでまいります。えー、喜瀬川さん」

 「若え衆、おらあ毎晩来てるに、馬鹿にして。あまっこにいってもらうべ、客を振るなら田舎者を振ったらよかっぺって。おらなんざこう見えてもいどっ子だこの野郎」「ごもっとも、すぐに花魁を。えー高瀬川さん」「ああい」。やっと花魁を見つけた若い衆に「これがほかへ廻らねえから、われが困るちゅうだんべ。玉代を返せって、そんな間抜けは田舎者だんべえ」と田舎大尽は四人の玉代を肩代わりする。「もう一人前出しておくれ」「出してどうする」「あちきがもらっておまはんに。それを持って帰っておくれ」