古典落語「茶の湯(ちゃのゆ)」

茶道【あらすじ】
 賑やかな蔵前から小僧の定吉を連れて根岸に隠居したお年寄り。

 「ご隠居さん、お隣の娘さんは自分の爪だけじゃ足りないとみえて、爪をつけてお琴をひっかいてますよ。お向こうの娘さんは花を活けてる。皆風流だなぁ、ご隠居さんも煙草ばかり呑んでいなで何かおやんなさいよ」

 「うーん、やりたいことはあるんだが子供の時に習ったんで、忘れた」定吉に言い訳をして始めたのが茶の湯。早速お囲いに入り、茶碗を取り出したが何を使うか分からない。定吉が買って来た青黄粉では泡が立たない。泡の立つ楽という触れ込みの椋(むく)の皮を茶釜に入れると泡だらけ。

 そのうち隠居所についている三軒の長屋に手紙を出させ、茶の湯に招待した。呼ばれた豆腐屋と鳶頭は早速引っ越そうとしたが、手習いの師匠が吞みようくらいは知っているというので出かけたが散々な目に遭う。しまいにご隠居は菓子にまで手を出した。芋をふかしてすり鉢で当り、粘る芋に灯し油を塗って猪口で抜いた、名付けて利休まんじゅう。

 ある時、蔵前の頃からの知り合いが訪ねて来て「茶の湯をなさっているそうで、せめて呑みようだけでも教わりたい」ときたので隠居は大喜び。呑んだはいいが吐き出しそうになり、口直しの菓子を口に入れたまま「一寸おしもを拝借」と席を立ち、手洗いに飛び込んだ。吐き出して、さあどこか捨てる場所はと見ると裏は広い畑。ぽいと捨てると、お百姓さんが「また茶の湯か」。