古典落語「千両みかん(せんりょうみかん)」

みかん【あらすじ】
 暑い盛りに床に伏した大店の若旦那は、蜜柑が食べたいという。「そんなことならどーんと親船に乗ったつもりでいて下さい」と請け負った番頭に大旦那は「今いつだと思う、土用の最中だよ。どこに蜜柑があるんだ。蜜柑がないとなれば息子は死ぬよ、そうなれば主殺しだ。逆さ吊りの磔だ。江戸は広い、どっかで探しておいで」

 夏の盛りに蜜柑を探して番頭さん、ふらふらになる。「蜜柑ありませんか。そうですか。あんた逆さ磔、見ましたか」「若い時分に一度。どぎどぎする槍を胸の前でちゃりん。おいおい気を確かに。蜜柑なら多町の万惣に行くといい」

 「御免、蜜柑ありますか」「この温気にどうか。おい、倉を開けてみろ」。たったひとつ無事な蜜柑が見つかった。

 「そういう訳ならこれを差し上げますから」「いや、買わせていただきます」「そうですか、こうやって一倉囲った中の一個ですから、千両です」「うーん、これは逆さ磔だ」

 大旦那は息子の命が千両なら安いというので買って来る。皮をむくと蜜柑の房は十袋ある。

 「ああおいしい」「百両。あっ、二百両」「何を勘定しているんです。お前のお陰で蜜柑が食べられるなんて」うーん、うまいと食べて、残した三袋を両親と番頭にという。

 番頭は三袋の蜜柑を持ってどろん。