古典落語「三軒長屋(さんげんながや)」

長屋【あらすじ】
 端は鳶(とび)の頭の家。中は伊勢勘(いせかん)の囲い者、奥には武芸者の楠運平橘正猛が住むとある横町の三軒長屋。鳶頭の家は若い者が始終出入りして酒の上での喧嘩が絶えない。「ころせー」「殺してやる」ばたんどしん。隣の道場では「おめんだぁー」「おこてだーぁ」。たまりかねた囲い者が旦那に引越を頼むと「この長屋はじきに俺のものになる。そのうち立ち退かせるからしばらく我慢をおし」。

 これを聞いた鳶頭のかみさんは腹を立て、亭主に噛み付く。「伊勢勘がうちと楠先生のところを店立てするって。それで三軒を一軒にして住むなんていってる。あのお妾がやかん頭を煽ってすっかり沸いちまってる。鳶口持って穴でも開けてくるがいいよ」という鉄火なかみさんに「よしわかった」と、鳶頭は羽織を着て楠先生のところへ行く。「先生ちょっとお耳を」「ふむふむけしからん、よしあい分かった」

 その翌朝先生は囲い者の家へ、弟子が多くなったので千本試合をして引っ越すという。生首が飛んだり、手負いが来るといけないから三日の間戸締まりを願いたいという。「いくらあれば引っ越せるので」「五十両」ということで伊勢勘は先生に五十両を渡す。続いて鳶頭がこれも引っ越すので花会をする、ついては酔って喧嘩で怪我人が出るからというのをとどめ、五十両を渡す。

 「ところで鳶頭、どこへ越す」「あっしが先生の所へ、先生はあっしの所へ引っ越します」