古典落語「九段目(くだんめ)」

煙草【あらすじ】
 町内の呉服商近江屋で隠居の祝いに素人芝居をすることになった。出し物は忠臣蔵九段目。

 ところが前日に立役者加古川本蔵(かこがわほんぞう)をやる者が風邪をこじらせ、お店の吉兵衛は困り果てる。

 「按摩のかたわら医者もやる働き者で、昼間は家で煙草を刻んでる。機町に越して来たばかりなんだが」と顔の広い金さんの世話でやって来たのが小泉熊山(ゆうざん)。吉兵衛が懇切丁寧に稽古を付けて、いよいよその晩幕が開く。

 「本蔵、尺八が逆さまだ。お尻(ケツ)吹いてるよ」慌てた拍子に鼻を打ち、鼻血が出て騒ぎになるが芝居は進む。本蔵が槍で突かれる大詰めに、「えらく血が出る。幸いこれなる煙草入れ、中から五匁(ごもんめ)取り出して、傷へ当てればおお沁みる」「本蔵、血止めに煙草とは芸が細かいぞ」「なあに、これは手前切りでございます」

 

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