古典落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」

太鼓【あらすじ】
 道具屋の甚兵衛さんが市で太鼓を買って来て、おかみさんと一悶着。「太鼓なんてのは際物(きわもの)といって頭の働く人が祭り前にでも仕入れて、さっと売る物だ。見せて御覧。まっ、汚いね。お前さんはね、時代がついているもんじゃあ、随分損をしているよ」「おれが損をしたのは岩見重太郎の草鞋(わらじ)と、清盛のしびんだくらいのもんだ」「お前さん、ちったあ物を売ったらどうだい、売らなくてもいい物は売るくせに。冬に前の米屋さんによかったらお持ちなさいて奥の火鉢を売っちゃった」

 「うるさいよ、定公、この太鼓をはたきな」「どんどん!おじさん、この太鼓ははたくと鳴るよ」「これ、今しがた殿が通行の際に太鼓をたたいたのはその方の内か」「さようで。親類の者でまだ十一で馬鹿なんです。目を見て下さい。馬鹿目といって味噌汁の実にしかならないんです」

 「いや、咎めているのではない。殿が見たいとおっしゃる。屋敷に持参いたせ」

 「お殿様はどんなに綺麗な太鼓だろうと思ってるところへ、ほこりのかたまりを持ってって御覧。この汚い太鼓を持って来た道具屋を縛ってしまえってことになるんだから」とかみさんにいわれておっかなびっくり屋敷に持参すると、これは国宝といってもよい名器だということで、三百両に売れる。帰ると、かみさんは道具は鳴る物に限るねという。「今度は半鐘(はんしょう)にしよう」「半鐘はおよしよ、おじゃんになる」