古典落語「帯久(おびきゅう)」

呉服屋【あらすじ】
 日本橋の本町四丁目に和泉屋与兵衛、二丁目に帯屋久七(おびやきゅうしち)という呉服屋がある。ある日大繁盛の和泉屋に帯屋が二十両の金を借りに来た。すぐに返して五月に三十両、七月にに五十両・・・。百両の返済に来た大晦日、与兵衛が離れた隙に帯久はその百両を懐に入れて帰ってしまう。その後和泉屋には不幸が続き、分家をさせた和泉屋式兵衛にやっかいになって十年。請け判をして店を失った式兵衛に再び店を持たせようと帯久を訪ねると、邪険なあしらいを受け、打擲(ちょうちゃく)されて表に投げ出される始末。あまりの悔しさ情けなさに火をつけて死のうとすると火はすぐ消され、捕まる。

 大岡越前守は例の大晦日の件を調べだし、元金の百両が和泉屋へ。利息が十年で百五十両になるから即金で百両、残りは年一両ずつ返すことになる。火つけの件は火あぶりと決まるが、五十両が返された暁にという。

 「和泉屋、そちは不憫な奴じゃのう。今年幾つになる」「六十一でございます」「還暦か、本封(ほんけ)じゃのう」「今は分家の居候です」