古典落語「按摩の炬燵(あんまのこたつ)

炬燵【あらすじ】
冬の寒い晩のこと。とある大店(おおだな)では出入りの按摩さんが大番頭の肩を揉み終えて「番頭さん、こういう寒い晩には一口召し上がると体が温まりますよ。

あたしは酒が入ると体がかっかしてくるたちでして。
どうです、あたしが生き炬燵になりましょう。御裕福な隠居さんは、若い娘をふたあり寝かせて、分はその間に入ってお休みになるなんていいますが。
番頭さんのために炬燵になりますから、お酒を少々」
それは助かるというので小僧の定吉を酒屋に走らせた。

「じきにあったまります、よい御酒ですねぇ。そろそろ火がつき出しましたよ、どこで炬燵になりましょう。帳場の方ですか。
番頭さんは手水(ちょうず)ですか、はいお帰りなさい、これは冷たい。

おや誰だい今度は徳どんですね。うわっ、また入った、またかい。おや誰だい今度は定どんかい、お使いご苦労様、背中へ足をのせなさい。

誰だい寝言を言っているのは。定どん、そんなに暴れちゃいけないよ。夢を見ているんだな。誰かと喧嘩をしている。
「定どん負けるな、どんどんやれ」
「てやんでぇ、まごまごすると頭から小便ひっかけるぞ」
「かまうことはないからひっかけてやれ。あっいけねぇ、本当にひっかけたよ。おいこりゃいけませんよ」
「どうしたどうした、何の騒ぎだ」
「定が小便を漏らした」
「按摩さん、もう一度あたらしておくれ」
「いけません、火が消えました」

ふるさと納税「ふるなび」