古典落語「粗忽の使者(そこつのししゃ)」
【あらすじ】
地武太治部右衛門(じぶたじぶえもん)という大変粗忽な侍が主の杉平柾目正から使者の役を仰せつかり、赤井御門守の屋敷に赴く。使者お取次の田中三太夫に会うが口上を忘れ、臀部をつねれば思い出すというので、三太夫は指に力のある人を探しに行く。
これを見ていた出入りの大工留公は同僚の辰公に「その侍が口上を思い出せなければ腹を切るてんだ。だから俺が行って閻魔でひとひねりしてやる」。三太夫に申し出た留公は家臣の中田留太夫という体で使者の元へ。「そーら、うん閻魔の子」「もそっと力を。うーむ、これは効いてまいった。これは痛み耐えがたし。うん、思い出した」。三太夫が近づくと「口上を聞いてくるのを忘れた」。