古典落語「締め込み(しめこみ)」
【あらすじ】
「お留守ですか。開けっ放しじゃ物騒ですよ」。泥棒が空き巣に入ると籠には湯がたぎっている。箪笥の衣類を大風呂敷に包んでさあ逃げようという段で、主の八五郎が帰ってきた。荷物を置いて咄嗟に台所の床下へ潜り込む。包みを見て、かみさんが間男と駆け落ちかと怪しむ八五郎。
湯から帰ったかみさんに出て行けと怒鳴って側にあった鉄瓶をぶつけると、煮えたぎる湯が潜んでいたこそ泥を襲った。あわてて這い出し、包みは自分の仕業と打ち明けた。
「喧嘩の仲裁をするいい泥棒さんに礼をいえ」
「泥棒してますが人間が正直なもんで」
妙な風向きで泥棒を一晩泊めることになり「戸締まりしちまえ。いつものとこじゃだめだ。表から心張りを交って、泥棒を締め込んでおけ」。